性感染症 std
性感染症について
経口避妊薬の普及によって、女性が自ら望まない妊娠をコントロールできることは喜ばしいことですが、一方ではコンドーム使用の減少による性感染症の増加があります。
性感染症は、性行為などによって感染する病気のことです。
一昔前までは『性病』と呼ばれていましたが、現在は『性感染症』という名称や 『STD: Sexually Transmitted Disease』または『STI: Sexually Transmitted Infection』という名称で呼ばれるようになりました。
STDの『Diseases』は病気という意味で、STIの『Infections』は感染症などの意味があり、日本ではSTDもSTIも『性感染症』という意味で使われています。
女性の性感染症は、無症状のことが多く、不妊や赤ちゃんへの感染につながることもあります。
また、性感染症の診断がされた場合には、男性パートナーの診断と治療を促すことも大切です。せっかく自分は治療がすんだのに、パートナーが感染していたら再感染することになります。
二人とも検査をして異常がないことがはっきりするまでは、性行為を避けるか、コンドームを必ず使用するようにして下さい。
性感染症への対策として最も大切なのは、なるべく早く治療を行うことです。
HPV:ヒトパピローマウイルス
子宮頸がんのリスクになることも知られています。
性交渉の経験がある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。HPVに感染しても90%以上の感染者では、感染後数年以内にHPVウイルスが自然に消失されます。
クラミジア
クラミジアは子宮に感染します。
感染が子宮から卵管へ進むと卵管がつまって不妊の原因になることも知られています。
淋病
男性の診断は特徴的な膿排出を伴う尿道炎から比較的容易ですが、女性は無症状の場合も多くあります。治療せずに放っておくと、女性では不妊症や子宮外妊娠の原因となります。
トリコモナス
女性の場合、外陰部にかゆみや灼熱感があったり、おりものが増えたりします。男性の場合は排尿時に軽い痛みをともないますが、感染に気づかない場合がほとんどです。
軟膏の塗布や内服薬によって治療します。
カンジタ
カンジタ自体は膣の中に元々いることが多く検査で見つかっても何ら異常ではありません。このカンジタが膣内で異常増殖し、症状を起こしたとき初めて病的と判断し、治療の必要性が出てきます。白いヨーグルト状のおりもの増加が特徴的です。
B型肝炎・C型肝炎
どちらも100人に1人くらいの感染率です。肝臓に感染して、肝炎の原因になります。
とくにC型肝炎に関しては放置すると将来、肝蔵のがんになるかもしれないやっかいなウイルスとして知られています。
ヘルペス
感染によって、外陰部がただれて潰瘍になります。時間が経過すると潰瘍は治りますが、ウイルスは持続的に体内に居続けて、症状を抑える薬はありますが、現在の医学ではウイルスを取り除くことはできませんので定期的に検査することにあまり意味はありません。疲れたり体力が低下したときに再発も繰り返します。
梅毒
感染してから何年もかかって進行していく慢性の感染症です。無症状で経過することもありますが、感染してからの時期によって、あらわれる症状が違います。放置すれば命にかかわりますが、早く発見し、抗生物質を使いきちんと治療すれば治る病気です。
HIV
HIVは、現在命をおとす病気ではなくなり、治療によって、発症を予防できるようになってきていますので検査をすることはとても有意義です。